アクティブ系インドア派人間のボルダリング

この世界にはいるアクティブ系、インドア派人間のボルダリングについてのぼやきと思い

IFSCクライミングワールドカップ八王子(準決勝・決勝詳報)

日本人選手の大活躍で幕を閉じたワールドカップ八王子大会

名古屋から足を運んで遠征して正解でした(*´∇`*)

 

 

今回は今大会の準決勝・決勝の詳報と感想を記事にしまする

 

 

☆準決勝女子☆

 

女子の決勝進出ラインは2完登3〜4ゾーン

2完登獲って決勝に上がれなかったのはファニー・ジベールだけなので2完登がラインでした

ただ1人別世界の女王・野口啓代選手は4完登オール一撃での圧巻の一撃祭り

 

2完登が20人中7人というかなりハードな課題セットでした

2完登の選手は6人中5人が第1課題と第4課題の完登者

この2課題のアテンプト数が準決勝の勝敗を分けました

 

他の第2課題と第3課題は群を抜いて悪かったです

 この二つの課題は会場で見た瞬間に悪いと感じるインパクトを持っていました

第2課題は野口啓代選手のみ、第3課題は野口選手とキプリアノファ選手の完登2名でした

 

この二つの課題について少し補足します

 

第2課題は野口選手の完登以外はゾーン獲得が15名

多くの選手がゾーン前のボリュームではがされていました

ファイナリスト5名がゾーンを獲得しているのでここではゾーンを獲得しておくことが決勝に向けてポイントになりました

 

ゾーンを獲得した15人のうち野口選手以外はゾーン後の挟み込みか左ボテのアンダーマッチに阻まれました

世界レベルの猛者が次々とふるい落とされるそのパートは本当に異様な空気を放っていました

ムーブそのものもよくあるわかりやすいムーブです

わかりやすいムーブほど持てないとはとても奥深い課題でした

 

完登した野口選手は苦にすることなく想像通りのムーブでクリア

野口選手が調子の良さが前面に押し出されていました

 

 

第3課題は最近多いデッドからのトゥーで初手を抑えるムーブでスタートは華やかでした

しかし、華やかなのはそこまでで後はTOPまでひたすら保持力を試される課題

多くの選手がゾーン獲得で終わっていました

ゾーン後は見るからに悪い取りにくい位置にあるホールドでした

それを小さいゾーンホールドを持ち替えて左で取りに行くのでとてもハードなパートでした

そのためゾーンの後を取れたのは完登2名の他数名…

その後もセレクションは続き最後に保持力の強い野口選手とキプリアノファ選手が残るという感じでした

 

最後のセレクションは野口選手、キプリアノファ選手の両名がヒールで攻略

ただ、このヒールがそれぞれ対照的でそれぞれの特徴が出た印象的なムーブでしたら

 

野口選手は代名詞の顔より上に足を上げての手に足気味のヒールで掻き込んで綺麗に攻略

キプリアノファ選手はでかいボリュームを足で抱え込むようにヒールで挟む魂の攻略

選んだムーブは同じでも全く違う形でゴール取りをするボルダリングの面白さが出た最後でした

 

 

日本選手の準決勝は野口選手の圧倒的な強さと野中選手の勝負強さが印象的でした

 

野口選手は会場でMCも煽っていましたが女王野口一撃祭りでした

課題ごとにオブザベに時間をかけて登り出すと迷いなくあっという間にオンサイト

結果はご存知、4課題4オンサイト!!

今まで苦手としていたコーディネーション系課題も難なくクリアできる!!

まさに経験と技術が融合して今が充実の時、絶好調だとわかります

 

 野中選手は第1課題をサクッと取り好調さを感じました

…が第2課題、第3課題ではゾーンを取り、いいところまで行っても核心で落とされるヤキモキさせられる展開

しかし、完登をできなければ準決勝敗退の第4課題でさすがは野中選手…

落ち着きある登りでしっかりと完登

完登が必要なところでしっかりと完登できるあたり今シーズンの調子の良さを感じました

 

また、伊藤ふたば選手の初の決勝進出は日本の新しいスターの誕生を感じました

ついに決勝に来てくれたかという嬉しさがありました

予選をしっかり通過して準決勝では安定してゾーンを取り、第4課題で一撃を取り2位で決勝を決めたあたり決勝も期待したくなる準決勝の登りでした

 

 

 

☆準決勝男子☆

 

準決勝男子はかなりバラツキのある課題だったように感じました

3完登が決勝ラインでした

 

準決勝課題で一番難易度が高かったのは第3課題で完登者は楢崎兄弟とチョン・ジョンウォン3名

楢崎智亜選手はこれを獲ったことで決勝進出が近づきました

 

第1課題と第2課題は確実に取りきりたい課題という感じでした

特に第1課題を取れるかどうかはかなり準決勝の結果に関係していました

 

第1課題を獲りきれずに決勝に残ったのは楢崎智亜選手とチョン・ジョンウォン選手の2人

第1課題を獲れないと多くの選手が苦戦した第3課題を獲り切らないと行けなくなるので決勝進出は厳しくなりました

 

その中で楢崎智亜選手は難しい第3課題を獲り3完登で決勝に駒を進めました

楢崎智亜選手は2大会ぶりの決勝を男子準決勝の最難関課題をきっかけで決めたところはさすがでした

 

最難関課題の第3課題はスラブのバランス系でした

ボーナスを取るまでは割と全選手スムーズに取りきるのですが、その後が核心だったようです

各選手の登りを見ている限り、手の高さと体の高さが絶妙にあってこないやらしい課題という印象です

 

完登者もチョン・ジョンウォン選手と楢崎明智選手がクリアしているようにリーチ差がかなり課題のやり易さに影響してました

楢崎智亜選手はリーチの不足分を動きの巧みさと保持力でカバーしていました

最後は抜群の運動能力でトップを獲り完登

準決勝のハイライトは楢崎智亜選手の第3課題でした

 

 

男子の準決勝は3完登が決勝ラインで極端に難しい課題はなく、課題間のグレード差みたいなのは少ない感じでした

 

準決勝に進んだ各日本人選手はそれぞれ見せ場を作りました

ただ、意外だったのは今シーズン好調さを維持している藤井快選手が1完登に終わったことです

そういう意味では決勝進出者は3完登ですが、その下は14人が2完登以下、0完登も2名いるなど厳しめの準決勝でした

 

準決勝はモローニ選手の安定感が際立ち、完成度の高い登りで3完登4ゾーン

隙のない印象で早々に決勝進出を決めました

 

それでも日本勢は楢崎智亜選手が2位、原田選手が4位、杉本選手が6位で決勝に進出

日本勢の好調さは勢いが止まりません!!

 

決勝と各選手の活躍が期待させられる準決勝でした

 

 

 

☆決勝女子☆

決勝は野中選手と野口選手の今シーズンの主役の一騎打ち

唯一追いすがったキプリアノファですら寄せ付けない日本のエース2人の世界でした

 

決勝課題は第3課題が圧倒的に悪く、初手を取れたのは野口選手ただ1人でゾーンを獲得できた選手も0でした

 

勝負を分けたのは第1課題と第2課題のアテンプト数

表彰台の3人は全員この二つを完登

 特に第1課題は野口選手がオンサイトで野中選手が2アテンプトでした

この差が最後に結果を分けました

 

特に野中選手の第1課題の1stアテンプトは手が抜けて思い通りにムーブを起こせなかったようだったのでアテンプトの重要性が出ました

 

なにより、野口選手と野中選手の今年の充実度は群を抜いています

野口選手は中国シリーズからの3連勝と9年ぶりの地元優勝

野中選手は初戦優勝のあと4戦連続2位でワールドカップ全戦表彰台の安定感

この2人を負かすのは今シーズンは至難の業でしょう

 

もう1人の日本勢伊藤ふたば選手は残念ながら完登0の6位

それでも随所に見せ場を作り、タイムアップギリギリまでトライをする粘りは今後を期待してしまいました

今年のあと2戦でどこかで表彰台あるいは優勝なんてこともあるかもしれません

これからの日本の期待のホープとしての実力は十分に見せてくれました

 

準決勝が割とハードな課題だったからか完登も多く、決勝課題は盛り上がりのある課題でした

その中で野中選手と野口選手のレベルの高い一騎打ち

最後はアテンプト差での決着

ドラマチックな展開に最後まで興奮させられました

 

今シーズンの残り2戦もこの2人が中心なんだと知らしめられました

そんな決勝女子でした

 

 

 

☆決勝男子☆

 

決勝男子は第1課題〜第3課題まではそれぞれ完登者1人という珍しい展開

それも全課題完登者が異なる大接戦

 

しかし、完登が少ないのでイマイチ盛り上がりに欠ける展開でした

 

そんな会場の空気を一変させたのはやはり楢崎智亜選手

第4課題まで振るわず決勝最下位の6位で最終課題を迎えます

 

誰もが楢崎選手のぶっ壊しムーブに期待を込め、せめて最後は完登して欲しいと願っていました

その会場の願いは正夢となり、初手を飛ばして直接ゾーン取りのスーパーランジ!!

これで一気に会場の空気を掴み、その後も奇想天外なスーパームーブの連発!!

 

最終課題をオンサイトして一気に暫定1位に躍り出ます

会場のボルテージは最高潮!!

もしかしたら楢崎選手の優勝か!?

そんな空気が突如として巻き起こりました

 

そして、迎えたモローニ選手の最終課題…

安定感はありますが最終課題向きかと言うとそうでもない感じだったので会場の興奮は最高潮

 

その中、今大会で力を見せつけたモローニ選手は抜群の安定感でオンサイト

勝負アリでした

 

今回のモローニ選手は終始安定しておりアンタッチャブルな存在でした

準決勝を見てもその安定感は歴然

よっぽどのことがない限り優勝はモローニ選手ので決まりという感じでした

 

モローニ選手は念願のワールドカップ初優勝

外岩の実績は抜群ですが、今ひとつコンペでの印象が薄かったモローニ選手

昨今のコーディネーション系に苦しんでいましたが、今回の優勝でまた一つステージを上げてきたたかもしれません

イタリアの大ベテランの今後の活躍に期待しましょう

 

日本勢としては楢崎選手の最終課題これにつきます

言葉は不要

だだ、楢崎選手らしいスタイルのある完登でした

なおかつその一発で表彰台、あわよくば優勝まで望めるところに行くのは楢崎選手の勝負運がなせる技といったところ

本当に興奮させられました

 

また、杉本選手はすべての課題で安定した登りで表彰台を手繰り寄せました

残念だったのはいいところまで進んでいた第2課題…

ここを取りきれっていたら優勝もありえたので少し残念でした

 

原田選手は完登こそありませんでしたが、しっかりと見せ場を作り、会場を盛り上げて自分の力を出し切るスタイルはとても楽しませてくれました

 

 

今回のワールドカップは日本勢大活躍のまさに地元ファーストのワールドカップでした

 

新しい勢いと従来の安定の強さ…

ライミングはもう日本のお家芸です

残り2戦さらなる活躍が期待出来る最高の日本ラウンドでした

 

次戦は来週のベイル大会

引き続き日本勢活躍に期待です